民主主義を応援するポータルサイト

民主主義ってなんだ?民主主義ってなんだ?

「お友達優遇政治」なぜ広がる?

3s

森友問題や加計学園問題での野党の追求から逃れる「モリカケ解散」などともいわれる、解散・総選挙。そこで改めて、これらの問題の意味について考えておきたいと思います。


 

2015年12月の安倍昭恵さんのSNS投稿。安倍首相、加計学園の加計孝太郎、三井住友銀行副頭取・高橋精一郎氏、鉄鋼ビルディング専務・増岡聡一郎氏

 先進国のはずの日本で「お友達優遇政治」

今年、首相周辺の「お友達」が優遇された事件が次々に明るみに出ました。首相の親友が経営する学校法人に異例の獣医学部開設が認可された加計学園問題。首相夫人が名誉校長だった学校法人に8億円引きで国有地を払い下げた森友学園問題。さらに、「総理」という本を書いた自称ジャーナリストの男性による強姦事件を警察がもみ消した疑いも・・・。日本はいつの間にか、首相の「お友達」が「オイシイ」思いをする、政治の私物化が進んでいたようです。

こうした「お友達優遇政治」は、かつて独裁体制の途上国でよくみられました。例えば1960〜70年代のフィリピン・マルコス政権や、インドネシア・スハルト政権では、大統領の親族やエリート層に富と権力が集中。反対する者が弾圧され、腐敗が蔓延しました。その後、民衆の怒りが高まり、最後は退陣せざるをえなくなりました。今の日本政治は、こうしたかつての東南アジアの独裁的な政治に近づいてきたと指摘する研究者もいます。(参考記事:「東南アジア的「縁故主義」と日本 忍び寄る「独裁」の影」

マルコス大統領夫妻とレーガン米大統領(1982年 Reagan Presidential Library)
マルコス大統領夫妻とレーガン米大統領(1982年 Reagan Presidential Library)

でも、日本は民主主義が定着した先進国だったはずです。なぜ今、かつての途上国のような政治の私物化が起きているのでしょう?そこには、安倍首相の驕りや人間性だけでなく、今の政治の方向性の問題があるといわれています。

背景その1:「政治主導」は独裁への道?

1つ考えられるのは、「政治主導」の行きすぎです。

安倍首相は以前から、「既得権益とつるんだ霞が関の岩盤規制を自らがドリルになって穴を開ける」ことが「政治主導」だと言い、首相がリーダーシップを取る「国家戦略特区」などの制度を作りました。しかし実は、ドリルで開けた穴から自分の「お友達」を優先的に送り込んでいたわけです。

「政治主導」は、これまで官僚組織が強かったのを変えようとして、小泉政権の頃に始まりました。国民の代表である政治家が、官僚をコントロールするべきだといわれたのです。小泉政権の頃に自民党の参院議員だった畑恵さんは、「政治主導」によって「官僚から官邸へと権力の中枢が移行」し、「政策決定のプロセスは格段に”不透明感”を増した」と書いています。(「忖度」、そして「政治主導」

安倍政権の「政治主導」では、小泉政権以上に対話や議論、調整をすっとばし、トップダウンで首相周辺の考えを押し通してきました。国会では野党の反対を押し切って安保法案や共謀罪などの重要法案を次々に強行採決。さらに、加計学園で問題になった国家戦略特区のように「総理のリーダーシップ」で既存の壁を打ち破ってきました。リーダーシップといえば聞こえがいいですが、言い換えれば「強引」「独断」ということでもあります。安倍政権では、与党が国会で圧倒的多数を占めることを背景に、考えの近い少数のブレーンとともに、そうした独裁的な政治を進めてきたのです。そして、まさにその「リーダーシップ」とおごりから、腐敗が生まれていました。

さらに安倍政権では、高級官僚の人事を決める内閣人事局をつくることで官僚をコントロールしてきました。モリ・カケ問題では官僚が首相をかばう場面が続出。財務省の佐川理財局長は、森友学園との交渉経緯は「すべて捨てた」と公言するなどして、国税庁長官に栄転しました(佐川理財局長「栄転」に波紋)。省庁のトップの人事を自由に決められるのですから、問題があると思っても官僚は声を上げられなくなります。

実は「森友問題」が騒がれていた同じ頃、お隣の韓国でも政治の私物化が問題になっていました。朴槿恵(パククネ)大統領が友人の女性実業家を優遇し、機密文書を渡したり、寄付金集めに協力したりしていた問題です。これによって大統領の支持率は急降下。結局、大統領は逮捕され、辞めさせられました。

ソウルでの朴大統領退陣要求デモ(2016年10月29日)(CC Teddy Cross)

ソウルでの朴大統領退陣要求デモ(2016年10月29日)(CC Teddy Cross)

韓国の大統領は、国民によって直接選ばれるだけあって、国会への予算提出権や法案の拒否権を持つなど、大きな権限を持っています。そんな「政治主導」だからこそ、「お友達」を優遇しようとすればいくらでもできてしまう。現に、その前の大統領も4代にわたり、退任後にそれぞれ数十億ウォンの収賄疑惑で家族や親族が逮捕されています。(参考記事:韓国大統領と東京都知事、不正を生みやすい権力構造の類似」「政治主導」が「お友達政治」につながるのは、韓国も同じだったようです。

背景その2:利権の温床だった「規制緩和」「改革」

もう1つの原因とみられるのが、「規制緩和」や「改革」です。

加計学園問題で話題になった「国家戦略特区」制度は、政治主導であると同時に、「規制緩和」の代表でもありました。「岩盤規制」を壊すという名目で、獣医学会や文科省の抵抗を押し切り、首相の「お友達」の大学が選ばれたのです。また、首相の妻・昭恵さんが名誉校長をつとめていた森友学園の小学校開設についても、大阪府の私学審議会が開設基準を緩和したことで認可されていました。こうした「規制緩和」が、新たな利権の温床になったのです。

「規制緩和」や「改革」は、既得権益を壊す「良いこと」のように思われがちですが、実際は首相に近い特定の人たちに利権が移っただけだったのです。これまでのルールを特別にゆるめたり、国の財産だったものを民間に譲ったりするわけですから、その際に誰にチャンスを与えるかで「えこひいき」が生じやすくなります。加計学園の場合は、「獣医学部」業界に参入したい加計学園が、「官邸の最高レベル」の力添えで規制を緩和してもらい、さらに自分だけが選ばれるような条件を設けてもらうことで、異例の学部開設認可を勝ち取ったと疑われています。

こうした「規制緩和」や「改革」は、1980年代からずっと提唱されてきました。それによって、特定の企業や業界が潤ってきました。

たとえば人材派遣業。経済学者の竹中平蔵氏は人材派遣のパソナグループの会長で、派遣業の規制が緩められれば得をする立場です。竹中氏は小泉政権で郵政民営化担当大臣をつとめるなど、一貫して規制緩和をすすめてきました。そして、以前はできなかった工場労働や単純労働での派遣が、派遣業法改正で解禁されると、派遣業界は急成長。それとともに非正規労働者が激増し、貧富の格差が広がったのです。こんな風に、規制緩和には利権がつきまといます。

「規制緩和」や「改革」は、自民党が進めてきた「新自由主義」政策の延長にあります。「新自由主義」とは、企業ができるだけ自由に経済活動を行えるように規制などをゆるめ、政府の役割を小さくしてなるべく民間に任せること。自民党は経団連などからたくさん献金をもらっていますし、アメリカからの圧力もありますから、彼らが求める規制緩和を進めてきたのです。その結果、大企業が儲かり富裕層が増えましたが、一方で格差が広がり、商店街はシャッター通りになるなど、日本社会は大きく変わってきたのです。
(参考記事:「生きづらい社会のカラクリは?」

背景その3:暗躍する「日本会議」系お友達ネットワーク

今の日本の政治で優遇されている「お友達」は、どんな人たちでしょうか。そこには、財界など富裕な特権階級と、安倍首相もメンバーになっている「日本会議」系の人たちがいます。

日本会議は、第三次安倍内閣の閣僚の多くがメンバーだという右翼団体で、宗教団体とも密接なつながりがあります(「憲法改正を訴える日本会議の「危ない」正体」)。森友学園の籠池理事長も以前「日本会議」のメンバーで、幼稚園児に教育勅語を唱えさせるなどきわめて右翼的な教育を行い、それを安倍首相夫妻はじめ多くの自民党の政治家が礼賛していました。塚本幼稚園で行われた講演リストをみると、戦前回帰的なテーマが並んでいます。

百田尚樹「日本危うし。将来を担う子供達の時代を見据えて」

土屋秀宇「言霊の幸ふ国を再び! 教育再生は『幼児の徳育から』」

青山繁晴「日本の出番をつくる」

竹田恒泰「日本はなぜ世界で一番人気があるのか」

渡部昇一「修身について」

櫻井よしこ「日本よ、勁(つよ)き国となれ」

田母神俊雄「国防理念なき日本民族の将来」

中山成彬「日教組の影と功罪」

米長邦雄「歴史と伝統、そして幸せの原点は家庭にあり」』

また加計学園問題で今治への獣医学部誘致に関わったという今治市長や愛媛県知事も、やはり日本会議の活動に参加していました。さらに、新党「希望の党」をつくった小池百合子氏も日本会議に所属していたことがあると言われますし、都民ファーストの会前代表の野田数氏は大日本帝国憲法復活を主張する政治家と言われています。

大臣や議員など公務員は憲法を尊重する義務があります。それにもかかわらず、憲法改正や戦前の軍国主義への回帰をめざすグループやネットワークが、日本の政治の中枢を占めるようになっています。

庶民の手に政治を取り戻す

利権の「お友達」ネットワークが政治を動かす国、日本。多くの国民は戦前回帰を目指してもいないし、利権とも無関係なのに、どうしてこんなことになったのでしょうか。それは、これまでの選挙で、私たちが一時の「改革」ブームに乗せらるなどして、どんな人たちなのかもしっかり吟味せずに議員を選んできた結果と言えそうです。あのナチスも正当な選挙で選ばれ、福祉政策などに力を入れることで国民の支持を得てきたといいます。

一部の特権階級やウヨクによる政治の私物化をなくすためには、私たち一人一人が平等な主権者であることを思い出し、民主主義の力を取り戻す必要があります。次の選挙では、私たち一人一人が「お客様民主主義」を脱して政治を「自分ごと」としてとらえ、本当に私たちの未来を託せるような、国民の生活や幸せを大切に考え、ビジョンと人格をあわせ持った人を選ぶことが大切ではないでしょうか。

テーマ

関連記事